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最高裁判所第二小法廷 昭和37年(オ)917号 判決 1963年3月15日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人貞松秀雄の上告理由について。

原判決挙示の本件一審以来の訴訟の経過に照し、上告人の原審においてなした所論の主張は、上告人が故意または重大な過失により時機に遅れて提出したものであつて、そのため訴訟の完結を遅延せしめるものとしてこれを却下した原判決の判断は相当である。右主張を立証するため、上告人提出の証拠につき既に一部証拠調がなされたことは所論のとおりであるが、原判決は、右主張に対する判断のためにはなお証拠調必要とし、これがため訴訟の完結を遅延せしめると認めたものであること判文上明らかであつて、右主張を立証するための証拠調が一部施行されたからといつて民訴一三九条によりこれを却下することができないわけではない(大審院昭和八年(オ)第一八五八号昭和九年四月四日判決、民集一三巻五八五頁参照)。原判決に所論の法律解釈の誤り、審理不尽、理由不備の違法がなく、論旨は採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 池田克 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一 裁判官 山田作之助 裁判官 草鹿浅之介)

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